「ゲーム」を作るのは簡単じゃない

いよいよこういう記事を残していかなアカン頃合いだと思ったので。

 

最近あまりにも辟易しているのが、「ゲーム作りは簡単」だと思っている人間の多さだ。
業界内だとWeb系出身(自分はWeb屋、Web上がりと呼んでいる)にとにかく多い。

Unityやcocosといったゲームエンジンが出てきて比較的ゲームが作りやすくなったものの、
技術的な面以外でのゲーム作りの難しさというものをほとんど知らない人間が上に立っていることが多い。
(というか技術面でも知らなさすぎるけど・・・)

 

背景として、ここ2,3年のブラウザ、ネイティブアプリの台頭がある。
業界を牽引しているグリー、DeNA、コロプラ等は全て元はWeb屋だ。

このWeb上がりのゲーム?会社が、ガチャという新しいビジネスモデルを確立し
恐ろしい収益を上げるに連れて、爆発的に増えた。

私は大手のコンシューマの会社を出て新天地を求め、こういったWeb上がりの会社を数社渡り歩いて来たが、
正直に言って「ゲーム」を作っている感覚はほとんど無かった。

 

ポチゲー全盛期なんかは本当に酷かった。

ただポチポチしてるだけなので、ひたすらアクティブ率を上げる為だけに
ユーザーの行動をログとしてデータベースに蓄積・解析して、あそこにバナー付けろだのプレゼントだの導線増やせだの、とにかく「射幸心を煽る」だけの施策ばかり。

ガチャも手を変え品を変え法スレスレなものが多数出現した。
中でもコンプガチャの酷さは記憶に新しい。

そして数字が上がればそれが面白い!と言ってしまうような酷い有様だったので
肝心のポチポチ自体がクソつまらないものだという事をわざとスルーして言っているのかとか
色々頭を傾げることばかりだったが、一番酷かったのは

「ガチャを引くこと自体が面白い!」

といって会社でLT(ライトニングトーク・簡単なスピーチ)してしまう人間がいた事だった。

仮にもゲームクリエイターを名乗っているものがそれでいいわけがなかろう。

 

ポチゲー自体がクソつまらないのは開発側でも良く言われていたが、
それを言っていたのはやはりコンシューマから流れてきた人達だった。

流れから言ってこの時点で将来はもう少しゲーム性を入れたネイティブアプリが流行るのは
コンシューマから流れてきた人間から見れば当然のように分かっていた。

ここに気付けずにネイティブへのシフトが遅れて急降下しているグリーなんかは
まさにWeb上がりである事の賜物と言えるメーカー?だったのだろう。
Web上がりとはいえコロプラのように早目にネイティブに舵を切って成功している所もあるが。

そして最近はもう既にパズドラ、モンスト、ツムツム等のゲーム性を入れたアプリが
トップセールスを占めているが、このレベルでようやく「ゲーム」になっている。

しかし中身は結局ガチャ、合成や強化とほぼテンプレート的なものが存在して
遊びの部分だけがそれぞれ少し違うという感じ。

 

コンプガチャが全盛だった頃に海外では既に
「Clash of Clans(クラッシュ・オブ・クラン)」
が流行っていたが、このアプリには物凄く衝撃を受けた。

ガチャではなくジェム課金を行い、そのジェムを使って自分の好きな部分に力を入れられる点と、
遊び自体の部分もカードやパズルのバトル等ではなく、斬新なものでとても面白いものだったからだ。

この頃から国内と海外ではコンシューマだけでなくスマホでも圧倒的な差があると感じた。
(売上の話ではなくゲーム自体の質の話)

 

話を戻すが、これらのいわゆるスマホで遊べるゲームが、莫大な利益を生むものとして業界に認識され、じゃあやろう作ろうといって色んなゲームの真似から入る。

で、何故か

  • パズルなんて簡単でしょ?
  • カードバトルなんて簡単でしょ?
  • サーバとデータやり取りすんの簡単でしょ?
  • 3Dのキャラ動かすの簡単でしょ?
  • エフェクトもバーッと出せるでしょ?
  • 大量に敵出せるよね?

っていう話が良く起こる。

「お前ゲーム作ったことないやろ?」っていう人間がWeb上がりには多いので、まぁ当然でもある。
(Web上がりでも優秀な人間だと「これ多分難しいよね?」って前置きしてくる。)

何でこういう流れになりやすいのかというと、やはり最近Unity等のゲームエンジンが
主流になってきて、「ゲーム」ではなく「目に見えるもの」が出来るまでのスピードが上がった為と、
ネイティブアプリ自体が簡単に遊べてしかもそこまで複雑ではない所から、

「ゲーム作るのはそんなに難しくないんじゃないか?」

という思考に陥りやすいからじゃないかと思われる。

で、いざやってみるとあれが大変だこれが大変だ、あのアプリは良く出来てるわ〜となるのが
オチである。

 

こういった人間に決定的に欠けているものが幾つかある。

  • 技術的側面においてのゲーム作りに対する知識の無さ

これが一番多い。

過去にコンシューマの現場でゲームを作った事のある人間がマネージャ等であれば
最低限ここはダメージが小さく済む所だったりするが、
残念ながら多岐に渡ってゲーム作りの難点を経験した人でないとどこかしらでほころんで燃える。

他には

  • Webとネイティブのゲームの作り方のレベルの相違に気が付いていない

前述と内容は似ているが、そもそもネイティブは技術的なレベルの層が2つ3つほど違う。
Webはほぼ1リクエストで片付く内容のものが多いが、
ネイティブだと「フレーム」という世界に入って制御が難しくなる。

まずどうやってモノが描画されるのか、どう処理が流れるのか、といったゲーム作りの
根本的な部分を理解する必要があるが、Webだとそれがほとんど無い。
この差は物凄く大きい。

こんな重要な部分が欠けているのに、平気で無茶な内容を仕事として積んできて
内容もそこら中からパクってミックスしてちょこっとだけ変えたアプリを作ろう、みたいなプロジェクトが一時期大流行していた。

そして今も残念ながらあまり変わってはいない。
変わるとしたら流れてきたコンシューマの人達がその会社のエラいポジションに行った時だと思われる。

 

「ゲーム」を作るのは簡単ではない、と言ったのは何も技術的な側面の話だけじゃない。

肝心の「面白さ」を作るのも簡単ではない。
というか「面白さ」こそゲームの心臓部分であり、ここが一番生み出すのに大変な所だ。

昔のポチゲーは残念ながら面白さとか語れるレベルにあるものでは到底ない。
されどゲーム性を入れればすぐに面白くなるかというと、コンシューマから遊んできた者にとっては
ただの昔のゲームをパクったもの、焼き直しばかりであってそう簡単に面白くはならない。

コンシューマ機と違って画面も非常に小さくコントローラもない。
スマホならではの「面白さ」をこれまでとは違った角度で追求しないといけないので
その面でも非常に大変なのである。
(ここに関しても自分はクラッシュ・オブ・クランに非常に強い影響を受けた)

 

そろそろまとめに入るが、最近はUnity等のゲームエンジンの普及により、
モノを作成する事自体の敷居は下げられてきている。

が、それは「ゲームを簡単に作れるようになった」ことと全く同義ではない。

世に出て流行しているアプリやゲームは、必ずしも簡単に作られてはいない。

快適にサクサク動いているそれは最適化の努力が裏でなされているからであり、
綺麗に見えるのはそれも絵づくりに対する拘りが絶えず行われているからである。

ひとえにゲーム作りといっても書籍が大量にあるように、山ほどの知識が存在する。
あらゆるジャンルのゲームに、あらゆるアルゴリズム。
その中に絶対と呼べる正解も存在しない。(定石のようなものはあるが)

 

これからゲーム業界を目指しているという若い方がもしこの記事を読んでいたら、
ゲーム作りは簡単ではなく難しい物であるということだけ、
ご理解いただければというか、頭の片隅にでも置いてもらえればという淡い期待をしておきます。

でもね、ちゃんとした環境でやれればしんどくても楽しいのよ!いやホント。
(↑それがなかなか無いから困ってる)

 

(今後もゲーム作りの基礎の話やあるある話などについて、少しずつブログに残していくつもりです。
しかし歳のせいか記事を書く体力と気力が… (‘、3)_ヽ)_ )

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